こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック  (PV , since 2008/7/8)
■「満月の瞬間」が見えない「満月の日」
 昨日(2021/7/24)は満月の日。
 満月の日には、この日刊☆こよみのページの姉妹メールマガジンである

  お月様のお知らせメール
  ※ https://www.mag2.com/m/0001281490

 が発行されます。
 「満月のお知らせメール」であれば、基本的には満月の日の08:00に発行さ
 れます。そして、予定どおり発行されました。「基本的には」と書いたとお
 りで、これがあると言うことは基本から外れたパターンもあるわけで、例え
 ば満月の瞬間が「○月△日 01:00に満月の瞬間を迎えるような場合」には前
 日に発行することがあります。

 この場合の満月の瞬間は、その前日の夕方に昇った月が沈む前に満月の瞬間
 を迎えるので前日の夕方からを一続きの「満月の夜」と見るのが妥当だろう
 と思うからです。満月の瞬間というのは計算で簡単に求められるのですが、
 「満月の瞬間」と見た目の月の関係をどう捉えるかというのは主観的な問題
 をデモあるので、この辺の兼ね合いが難しいのです(案外、色々と悩んでい
 るんですよ、これでも)。

 さて、今回もこの難しい兼ね合いに関連する話です。
 ことの始まりはいつものように、「お月様のお知らせメール」の連絡用アド
 レスに届いた読者からの一通のメールから始まります。

◇満月の瞬間が見えない?
 以下は実際の「お月様のお知らせメール」の内容です。

 ====== 【満月のお知らせメール】 2021/7/24号 ======
 Subject: 【満月&十五夜の月】のお知らせです(お月様のお知らせメール)

 ◆今日(7/24)の夜空に見える月は【満月&十五夜の月】。
 月は日暮れの頃に東の空から昇り、翌日の夜明け頃に西の地平線に沈んでゆ
 きます。

 新月から数えて15日目の十五夜の月と満月は同じものと考えられがちですが
 十五夜と満月が同じ日になる確率は50%以下。
 案外はずれています。
(今回は一致しています)

 ◆お月様の基礎データ
 ・満月の瞬間は 7/24 11時37分 (月齢は 14.1)
  ※満月とは、月と太陽の黄経の角度差が180度となる瞬間です。

 ・月出:7/24 19時22分 月没:7/25 5時25分 (東京での時刻)
 ・南中(真南に見える瞬間):7/25 0時22分 (東京での時刻)

 ・南中時の月と地球の中心距離は 371200 km (平均距離の 0.96倍)。
  月は平均より 13800km近く見かけの大きさはいつもより少し大きいです。

 お月様、見えるでしょうか? 見えるといいですね。
 以上、本日のお月様のお知らせメールでした。
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 元々が携帯メール(ガラパゴス携帯の時代)を想定しているので、こんな感
 じの素っ気ないテキストメールとなっています。
 さて、このめーるについて、読者の方からこんな返信メールを頂きました。

 ----- 読者の方から頂いた返信メール(の一例) ------
 今日の配信の下記の時刻は月は見えないでしょう???

 ◆お月様の基礎データ
 ・満月の瞬間は 7/24 11時37分 (月齢は 14.1)
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 頂いたメールの「???」が物語るように、満月の瞬間が見えないことに違
 和感を覚えていらっしゃるようですね。わかりますけど。

 でも、現在の新月や満月(上弦・下弦の半月も)の瞬間は天文学的な定義に
 従うのが一般的でしょうから、私もその方式でやっております。この定義っ
 てどんなものかというと

  地球中心から見た太陽と月の作る角度(ただし、黄道座標の黄経の角度)

 で決まります。この角度が0°なら新月、180°なら満月、90°、270°なら
 半月って具合です。ここで重要な点は「地球中心から見た角度」という点。
 そんなところから見ることが出来るはずはないのでこれは、観測地によらず
 地球全体を考えたもので、もちろん計算上のものです。

 こんな定義なので、「満月の瞬間」がいつも日本で見られるかというと、そ
 ういうわけにはいきません。確率的には満月の瞬間の1/2は日本では見えま
 せん。そしてそれが当たり前。月が地平線に沈んで、再び昇ってくるまでの
 間の時間に満月の瞬間が来れば、満月の瞬間はみえませんから。これは日本
 に限った話ではありませんね。どこでもそうです。

 どちらかと言うと、今回(2021/7/24)の満月のお知らせメールに関しては
 あまり悩まずに済むものだったのです。だって、この日の満月の瞬間は日本
 時11時37分という、間違いなく日本では月が見えない時間帯だから、満月の
 日の当日にメールマガジンを発行するべきか、前日の夜にあわせる方が悩ま
 ないから。悩んだところでどっちにせよ月が見えるわけがないのですから。

◇「満月の瞬間が見えない」のは不思議なの?
 私の場合、「満月の瞬間」なんかを計算するということを趣味だったり、仕
 事だったりでかれこれ40年以上もしてきているので満月の瞬間や半月の瞬間
 が日本で見えないなんてことが不思議でも何でも無くなってしまっているの
 で、「一般の人には不思議に思えるのだろうか?」ということを、頭で考え
 てみないとわかりません。考えたからって正解かどうかは、更にわかりませ
 んが。

 新月なら、月が昇っていようが沈んでいようが基本的には見えないので、こ
 うしたことを悩むこともないのですが、満月や半月の月は見えてしまうので
 これと計算上の、満月や半月の瞬間やその日付が「月が見える瞬間」や「月
 が見える日」と一致しないとこんな悩みが生まれるのでしょうね。

 この手の話は月にまつわる「よくある質問」の類いなのですが、今回はメー
 ルを頂いたこともあったので、改めて取り上げてみました。
 なお、今回の話について、文字の説明だけじゃわかりにくいなとおっしゃる
 貴方には、Web こよみのページの「暦のと天文の雑学」の一編

  新月、満月は世界中同時?
  http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0240.htm

 に図入りで説明しておりますので、お立ち寄りください。
 よろしくお願いします。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)

オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2021/07/25 号

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