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将来の春分日・秋分日の計算
    「春分の日(秋分の日)って、変わるんですか?」

 こんなHPを作っている私は、「春分の日(秋分の日)が変わる」なんて当たり前だと思っていたのですが、言われてみれば不思議な現象かもしれません。と言うことで、今回は春分の日(と秋分の日)が変わる理由を簡単に説明してみましょう(ついでに、将来の日付の計算方法も紹介します)。
 なお、これ以後は「春分と秋分」と並記するのが大変なので特に断らない限り「春分」と書いた場合春分と秋分の双方を指していると思ってください。

 現在の日本の祝日のうちで春分と秋分の日の2つは、実際の天体の運行と関係する祝日です。天文学的に「春分日」と言われる日が原則として春分の日となります(ただし、絶対ではありません。祝日の定義については祝祭日一覧をお読みください)。今後はこの計算可能な天文学的な「春分日」についての説明になりますので、そのつもりでお読みください。

 春分の日は原則として太陽が春分点(天の赤道と黄道が交差する点。180度反対側には秋分点があります)を通過した瞬間を含んだ日です。太陽が春分点を通過してから再び春分点まで戻る期間が普通に言われる「1年」です。
 この1年の長さを日数であらわすと、

  1年 = 365.242194日

カレンダーの上では普通1年(平年)は365日として数えますから、太陽が春分点を通過する瞬間は1年経つ毎に前述の端数、0.242194(約5時間49分)だけ遅れます。
 これが続くと4年ごとに約1日春分の日が変わることになりますが、現在の暦では4年ごとに閏年として1年366日の年が入ります。もともとこの閏年は、春分の日が4年に1日ずつ移動してしまうことを防ぐ目的で設けられたものですから、この閏年が入るとそれまでずれた分が大体リセットされるのです。

春分点・秋分点通過
月日の移動
春分・秋分の図
 ここで示した図は、春分点を通過する時刻がどのくらいの割合でずれるかを視覚的にあらわしてみたものです。上の段は春分の日、下の段は秋分の日です。図は西暦2000年からの4年間の移動を示しました。図中のアルファベットは

 2000年の位置 A(a) → B(b) → C(c) → D(d) 2003年の位置

となります。円の中心位置が3/20にあるか3/21日に有るかで春分の日がどちらの日付になるかが決まります(秋分の日にあっては、9/22か9/23日)。
この図は2000年から2003年の4年の移動ですが、2004年は閏年ですのでずれがリセットされて、最初のA(a)の位置に戻ります
閏年による「リセット」が完全にうまくゆけば、このように4年ごとに同じパターンがくり返されることになり、春分の日は3/20か21日、秋分の日は9/23日(そのうち9/22の秋分の日も出てきます)となりそうです。これがわかれば、何か簡単な式で、将来の春分日・秋分日が計算できそうに思えませんか?

ということで、例として2000年からの春分日・秋分日を求める式を考えてみましょう。例として、2010年の春分日を計算してみましょう。
2000年からの春分日計算の手順
1.2000年の太陽の春分点通過日
3月20.69115日
例.20.69115 (これは、期間中変化しません)
2.1年ごとの春分点通過日の移動量
(西暦年−2000年)×0.242194 (日)
例.(2010 - 2000) × 0.242194 = 2.42194
3.閏年によるリセット量
INT{(西暦年−2000年)/ 4} (日)
例.INT{(2010 - 2000) / 4} = INT(2.5) = 2
4.求める年の春分日の計算
INT{(1)+(2)−(3)} (日)
例.INT{20.69115 + 2.42194 - 2} = INT(21.11309) = 21
  結果:2010年の春分日は 3/21日
INT()は、()内の数を超えない最大の整数を返す関数です。というと難しそうですが、
  INT(4.9999) = 4
  INT(5.0000) = 5
という風に書くと、「なーんだ、そんなことか」とわかってもらえると思います。

 秋分日に関しては、春分日の説明の(1)が「2000年の太陽の秋分点通過日」と変わるだけです。
 この日付は9/23.10260日となるのですが、実はこうすると少々困った問題が起こるので、ここでは何も言わず、9/23.09日と0.01日ばかり調整した値を使ってください。あとは春分日の計算例に同じ。
 さて、この計算でどれくらい先まで計算できるかというと、とても残念ですがたった100年分しか計算できません(2000-2099年まで計算可能)。「みじかい!」とお怒りの方もいらっしゃるかもしれませんが、読み物としては、このくらいの期間の計算で目的は達成できたのじゃないかなと思います。
 と言うことで、ひとまず筆を置くことに致します。

追 記
西暦2100年以降の日付計算
 それより先の値が必要な方は、もう一ひねり必要です。今回は説明を見送りますが、閏年の入れ方を考えれば、「一ひねり」はさほど難しくは有りませんので、チャレンジしてみてください。
 
2000年の秋分点通過日の小細工について
秋分点から次の秋分点までの期間は実は一定ではありません(おっと、この長さが一定しないというのは春分点に関しても事情は同じです)。平均すれば「1年の長さ」になるのですが、その前後で変動しています。この変動の量はざっと10分程度。2000年からの 100年間には 2回、秋分点通過時刻が日本の日付変更時刻ぎりぎりに来る年があり、このため「小細工」しないとここで紹介した簡易計算がうまくいかないことがあります。そのため、この10程度の変動を吸収してしまうため、最初の定数に細工をしたわけです。何分実験式ですから。
 
余 談
キリスト教における「春分の日」
 キリスト教において、「春分の日」は復活祭(イースター)を計算する起点となるため大変重要なのですが、キリスト教における春分の日は、3月21日と決められております。
 実は現在の暦として広く使われているグレゴリウス暦は春分日が3月21日からあまり外れないように考えられた暦なのです。その恩恵で、今回説明したような簡単な計算で将来の春分の日の日付が計算できるようになったのでした。私としては大助かり
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