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太陽の色・月の色
    長らくお待たせいたしました(?)。本日は太陽と月の色について話しましょう。

太陽の色
[太陽]
実視等級-26.8   絶対等級 +4.79  スペクトルタイプ G2
表面温度 5770°K  半径 69.6万km   主系列星

と天文学の本には書かれるごく「ありふれた」星です。このうち「色」について関係のある部分はスペクトルタイプの「G2」と、表面温度。
 ほんとは、太陽のように自分で「核融合反応」を起こして光る星「恒星」の色はその表面温度で決まってしまうといってまあ間違いありません。物を熱して行くと物体はやがて光り出します。黒い石でも火山から吹き出した溶岩のときはその高温のため赤く光っていますが、これを黒体輻射(放射)といい、ものが元々どんな色をしていても関係なく、その表面温度のみで色が決まります。
 太陽は、その温度からすると 0.47ミクロンの波長の黒体輻射を発しているはずで、この波長は私たちが肉眼で「薄い黄色」と感じる光の波長です。スペクトルタイプG2というのは、こういった話しを一定の基準で分類した分類番号です。
 「太陽の波長は 0.47ミクロン」と言いましたが、この波長だけではなく、この波長付近に分布のピークを持つ「連続放射」を行っているのが本当で、その光の中には紫や青、緑色、黄色、赤色など様々な色が混ざっています。これらをまとめてみると「白色光」に見えます。太陽の光が白色光に見えるのは「人間が太陽の下で進化したから」なのでしょうが。
 ちなみに虹は、この混ざった光が水滴で分解されるため「七色」に見える現象。

 ということで、太陽の星としての本来の色は「薄い黄色」くらいに考えてもらって良いでしょう。

月の色
[月]
地球の自然衛星
実視等級-12.5(満月) 地球からの平均距離 388,400km
半径 1738km      質量 0.0123倍(対地球比)  平均反射能 0.07

とこちらも天文の本風の記述。ウサギの餅つきでおなじみの月のデータでした。

 日本の優れた理科教育を受けた方々は「月は太陽の光を反射して光っている」ことは百も承知ですよね。だからといって「じゃあ、色も太陽と同じか」などとと短絡しないように。花に色があるように月にだって色があるんです。
 月は、太陽の光のうちの短い波長(紫や青)などはあまり反射せず、長い波長(黄色や赤)は比較的よく反射します。そのため、月の実際の色はちょっと赤みがかっているはず。灰色の顔をした不健康な月ではなく、褐色の肌の健康的な月なのです。

プルキニエ効果
 褐色の肌の月が美しい晩、「ちょいっと月光浴」としゃれ込んでみましょう。青白い月の光に照らされて・・。ん?、青白い?。何で「褐色の月」が出ているのに月夜の晩に見える風景はみんな青白いんだ?
 これに関係するのがプルキニエ効果
 同じ明るさの赤と青の光源を用意し、徐々に暗くして行くと同じ割合で暗くして行っても、人間の目には次第に青い光の方が明るく感じられるようになります。これをプルキニエ効果と呼びます。とても明るく感じる満月の光ですが、昼間の太陽の明るさに比べてみるとなんと、1/465,000(平均)の明るさしかないのです。こんなに弱い光の元でものを見ると、プルキニエ効果が働いて「青白く」感じるのです。
 でも、錯覚であっても「月の砂漠を渡るラクダ」には青い光が似合いますよね(褐色の光じゃ、健康的すぎて・・)。

大気の層を通して見る太陽・月の色
 「海に沈む真っ赤な夕日にむかって、○○は叫んだ・・・バカヤローー・・」
 今思い出すと恥ずかしくなるような青春ドラマが昔はよくあった(中村雅俊が教師役だったりして)。夕日や朝日は赤く(月も)、先に説明したような太陽の色「黄色」には見えない。これは、地球の大気のせい。
 天文と言うより、「気象のはなし」なのでそのてのHPでご覧くださいと書きたいところですが、それではお客様に逃げられてしまうと考え、気を取り直して説明開始。
解説520この間38万キロ
(紙面の都合に
より省略)
月

上の図の各位置での月の見え方
見る場所通過した
大気の幅
各色の
透過率
月の色備 考
3.4赤:93%
緑:70%
青:38%
月透過月の出頃
1.6赤:97%
緑:84%
青:63%
月透過月の出
2時間後頃
1.1赤:98%
緑:89%
青:73%
月透過月の出
4時間後頃
1.0赤:98%
緑:90%
青:75%
月透過月の出
6時間後頃
 左の図は、天体を大気の層を通して見る場合、天体の光が通過する大気の層の厚さが見る位置によってどう変化するかを模式的に表したものです。天体はこの場合、月を例にしてみました(模様が見えて楽しいでしょ?)。
 一番左側の「青い円弧」が地球(の一部)。その回りの水色が大気の層だと思ってください。A〜Dは地球上の位置で、その位置から横にのびた白い線の長さはその地点から天体を見る際、天体の光が通過した大気層の距離を表しています。
 Aは月の出の位置、Dは月が天頂付近に見えている位置としB・Cはその間を等間隔に分けたもの。Aからの2時間毎の位置と考えるとわかりやすいかも。

 大気の層を通過する光は、大気の分子や水蒸気分子、大気中の塵などによって「散乱」という現象を起こし、少しずつ弱まって行きます。この弱まる割合は波長が短い紫や青の光の方が波長の長い緑や赤の光より大きく、図のAの位置のように大気層の中で長い距離を通過した光は、青色の成分などをほとんど失ってしまいます。そしてあまり弱まらないで到達した「赤色」の光が我々の目に入りますから、「赤い」月や太陽を見ることになります。

 A〜Dの位置で見える月の色を、赤・緑・青の三色の光に分け、それぞれの光がどの位大気の層を透過出来るかをD位置での値を仮定して、それぞれ計算し、それを合成して示してみました。実際の色とは同じには出来ませんが、イメージとしてはわかっていただけるのでは?

「余 談」
写真集・「月光浴」
 石川賢治さんというカメラマンの方が月の光だけでとった風景、植物などの写真集を昔購入しました。今でも、月明かりのもとの海を写した表紙の写真の記憶が鮮明です。見かけたら手にとってご覧ください(気に入った写真集なので勝手に宣伝)。
青空
 空が青いのも「散乱」のため。海が青いのもね。とっても、とっても高い空では青よりも波長の短い紫の散乱光が卓越した領域が当然ある。そんなラベンダーの空を見ることが出来るのは現在は宇宙飛行士のみ?
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